私の夢。
小学生の時の文集には、迷いがない字で小説家と書いてある。
事実、私は小説を書いていた。
子供の頃から、友達を主人公にして書き上げた小説は、とても評判が良くて、中学に上がった頃、本格的に書き始めた。
それでも、書いている私が好きなだけで、純文学でもなければ、リアリティーもなかったような気がする。
隣の席の男子がサッカーに打ち込み、前の女子が男に惚れ込むなら、私はツンと顎を上げて、小説を書いているの。
その程度。
その程度なりに楽しかったとは思う。
高校に上がり、作品を公募に出す高揚感を味わい、ようやく本というものを読むようになると、自然と書かなくなった。
あゝ、私にはムリだな。
その点では、私の諦めは潔いのか。
それからは、いわゆる読み専に徹した。
書こうなどとは思わなかった。
そうしたら再会したんだ。
何十年振りかの同窓会で幼馴染みに遭遇したように。
私は携帯小説というものを知ることとなる。