家中の窓を全開にしても、夏特有の生温い重たい風どころか、それすら吹いていない。 窓際に吊るした爽やかな色合いの風鈴は、見事にピタリと静止している。 ただ、刺すような太陽の光が地面を燃やしているだけ。 …なんでこの暑さの中、これから自転車をアホみたいに必死に漕いで、家からかなり遠い塾まで行かなきゃいけないの… 気が滅入って滅入って仕方ない。