「えぇー!オレ、痛くて気を失ってた?うわぁ。すっげぇ弱くねぇ?チョ~ひ弱。アハハ」


『アハハじゃないです』と、石田は視線を下にして、ムッとした顔をする。


「ごめん。ごめん。あっ、打ち合わせ行かないと」


「ダメです。もう、他のメンバーの方たちでやってもらってます。奈桜さんは目が覚めたら病院に検査に行く事になってます。強く打ってるみたいですし、ちゃんとレントゲン撮って診て頂かないと。ほんとは救急車を呼ぶべきだったんですが。すみません。ここで呼ぶとマスコミで騒ぎになってしまいますから」


申し訳なさそうに石田が頭を下げる。


「大丈夫だよ。何ともないもん。これくらい湿布貼っときゃ治るって」


体を起こした奈桜は『いってぇー』と顔を歪めた。
無理もない。
無意識に頭をかばい、肩、背中、腰で、さとみを受け止めた。
折れてはいないだろうが、かなりの打撲だろう。