「あぁ、そうだ。秋月さんは?大丈夫だった?」


目をパッと開いて奈桜が聞く。
すぐ思い出してくれた事に石田は胸を撫で下ろした。


「頭は大丈夫……」


自分に確認するように小声で石田が呟く。


「えっ?」


「あ、いえ、何でもないです。あぁ、秋月さん、秋月さんは大丈夫です。まぁ、取り乱して大変でしたけど。……いえ、何でもないです。奈桜さんがかばったおかげで、どこもケガされていませんでした。タイヤも無事に履き替えられたんで帰って頂きました」


『良かったぁ』と奈桜は笑った。
石田はその笑顔が柔らかい事が気になる。


「えぇ、良かったです。良かったです。が!奈桜さん、無茶しないで下さい。奈桜さんだって大事な仕事があるんですよ!もしもの事があったら……。背中や肩や腰を打ってます。痛みのショックで気を失ったくらいなんですから」