「そうなんだ。それは大変だったね。あっ、仕事は大丈夫なの?良かったら送るよ。困るでしょ?」


優しいのか相手が単に可愛いからヤラれてるのか、奏はどんどん腑抜けて行くように見える。


「タクシーで行けばいいんじゃないの?呼んで差し上げたら?」


心がわざと、ちょっと嫌味を感じる言い方をする。
碧の視線も鋭いままだ。


「そんなぁ。お金かかるよ。あっ、車だけでも貸してあげたら?」


「誰の?」


「事務所にそんな遊んでる車、あったっけ?」


「なんか心も碧もトゲがあるなぁ。お腹でも痛い?」


楽しそうな奏の顔に『おバカです』と貼り紙を貼ってやりたいと心は思った。


「いや、ほんとに。次の仕事とか大丈夫なの?予定あるでしょ?」


泉の言葉にさとみの顔がフフッとほころぶ。