「へぇ~。やっぱりかぁ。見たまんまなんだ?ね、どんな話した?」


「バレンタインの話」


泉が答えた瞬間、奈桜が思いっきり咳き込んだ。


「大丈夫!?」


泉と奏が慌てて奈桜の背中をさする。


「分かりやすいんだよ」


心が小声で呟くと碧も意味深にフッと笑った。


「あ……、だ、大丈夫。ちょっとむせた。アハハ……」


「汗かいてるよ」


「えっ?」


心の言葉に奈桜はなお、慌てる。


「どうかしたの?」


意地悪くニヤリと笑いながら碧がかぶせて聞いてくる。
奈桜の鼓動は今日、一番、速く打っている。


「なんもナイ!」


とりあえす額の変な汗を拭い、奈桜は焦る手で目の前のお茶を飲む。


「何の話だっけ?」


「秋月さとみちゃん。あっ、そういえば、その時に食べたケーキがさぁ、」


奏と泉の会話が違う方向へ行った事に奈桜はホッとした。