パパはアイドル♪vol.3～奈桜ｸﾝの呟き～

「疲れてる？かな？オレ、何にもしてなくて。ごめんな」


梓の、枕に流れた髪は動かない。


「仕事、キツかったら少し休んでもいいから。……仕事、もっとしたいならしていいよ。家の事は気にするな。………子供はさ、自然に任せよう。オレは梓と一緒にいたくて、梓をオレのものにしたくて結婚した。だから、あのさ、」


ここで言葉は途切れてしまった。
梓の肩を抱くようにゆっくり眠りに堕ちて行く。
奈桜の鼓動が梓の背中に響いて来る。


「奈桜、続きは？」


肩にかかった奈桜の手を優しく握る。
奈桜が寝ている事は分かっている。
だから、声をかけた。


「ありがとう。奈桜。ありがとう……」


梓の目に涙が溢れて来る。
こんなに気にかけてもらえてるのに。
奈桜が聞いたら飛び上がって喜ぶ報告があるのに。


「ごめんね。奈桜……」