「梓、ただいま」
風呂上がりのボディソープの甘い桃のような匂いをまといながら、奈桜はベットで寝ている梓の横に入る。
もちろん、そっと。
まだ風呂から上がったばかりで横になりたくないのか、座って、向こうを向いている梓に話しかけている。
脱衣場に着替えが用意してあったから、とりあえず黒いボクサーパンツは見た。
が、見ただけで穿いてはいない。
奈桜は自由が好き。
でも一応、腰に薄いブルーのタオルを巻いている。
濡れて真っ直ぐになった髪、細身だけど締まった体、腰に巻いた少しまくれたタオル。
ファンが見たら秒殺、間違いナシ。
「梓、何か隠してない?」
優しく語りかける。
梓の返事は期待していない。
寝ていると思って話しているから。

