パパはアイドル♪vol.3～奈桜ｸﾝの呟き～

色んな事が一気に押し寄せて来る。
全部、自分が招いた事。
分かっていたのに、何とかなると思っていたんだろう。
ハリウッドの件は想定外だったが。
こういうのって不思議と重なる。
困り事は困り事が好き。


梓は寝室に入るとドレッサーの引き出しをそっと開けた。
検査薬の箱を仕舞う前にもう一度、赤い線を確認する。
いとおしい赤い色。
こんなに線を見つめた事はないだろう。
そして無意識にお腹をさすっていた。
母性だろうか。
また涙が溢れて来る。


「奈桜………」


奈桜の声が聞きたい。
奈桜の温もりを感じたい。
『大丈夫だよ。全部、上手く行くよ』
奈桜ならそう言ってくれる。
そして必ずそうしてくれる。
分かってるから。言えない。
また問題を抱え込ませるなんて。
これは。私が何とかする。
自分で何とかしないと。
奈桜には言えない。
これは梓のトップシークレット。