薄いピンクのバッグの中から小さな細長い箱を取り出す。
心臓がドクンと大きな音を立てた。
そして一気に鼓動が速くなる。
梓は一度、深く息を吸って、ゆっくり吐いた。
『落ち着いて』
自分に言い聞かせる。


少し手を震わせながらトイレのドアを開ける。
大丈夫。何とかなる。結果が出てから考えよう。
梓の右手に握られているのは白く細長い棒のようなもの。
それを使えば一瞬で、今、抱えている一番の問題にはっきりと答えが出る。


今まで散々、悩んで来た。
でも悩んでも所詮は仕方のない事。
まずははっきりさせないといけない事なのだ。
どっちなのか。




妊娠検査薬。




これではっきりする。
それから悩もう。
もう一度ゆっくり深呼吸した。