少しの沈黙の後、梓はクスッと笑った。


「ありがとう。教えてくれて。大丈夫よ。奈桜なら」


優しい穏やかな笑みに、みなぎる自信が見えた。
愛されているというのは人を強くするのだろう。


「さすが梓さん。全く動じませんねぇ。愛されている強み?いいなぁ~。あんな小娘の一人や二人、どうってことないですよね?」


梓の言葉に青木もホッとする。
なんとか話が無事に終われそうだ。


「そうね。奈桜は素敵な人だから。奈桜は……奈桜は遊びなんて出来ない。あの人がするなら。それは本気よ」


「そうですよね。奈桜さんは遊びなんて出来ないですよ。本気しか出来ないです。だから梓さん一筋なんですよ。安心。安心」


梓は左手の薬指のプラチナの指輪を見つめる。
真ん中に小さなダイヤがひとつ埋め込まれたようになっている。
小さいけどカットが綺麗でキラキラよく輝く。
この輝きが好きで、たまに眺めてぼんやりする。
何気ない事が幸せ。