「えーっと、あのぉ、あの、えーっと。はい。そうですよね。はい」


青木はきっと自分を納得させている。
『だからどうしたの?』と笑顔の梓が怖い。


「はい。分かりました。あのですね、噂です。噂なんですけど。あの秋月さとみが女豹のように奈桜さんを狙ってるって。かなりモーションかけてるとか。あの、あくまであっちの一方的なものですよ。噂だし。でも、手当たり次第に奈桜さんと関係のあった人たちに声をかけて、奈桜さんと深く関わろうとしてるとか。ガチの恋だって。奪うつもりだって。もっぱらの噂です。彼女なら雨宮奈桜を落とせるんじゃないかって。耳の早いスポーツ紙はもう狙ってるかと。まぁ、あのくちびるに迫られたら。男なら……ねぇ。一回くらい……。あっ、いえ、奈桜さんに限って絶対にそんな事はないです!」


調子に乗ってつい喋ってしまった。
ほんとはどこかで上手く話を切ろうと思っていたのに。
青木の頭の中はどうフォローするかでいっぱいになる。