「願いが叶って良かったね」


「うん。まずはここから」


紅茶をまた一口含んだ。
茜は意味が分からず、さとみを見つめている。


「告白は第一歩。今はまだ叶わないって分かってるから。まずはね、気持ちを伝えて奈桜さんの気持ちに少し揺さぶりをかけてみたの。どうなるか分かんないけど。でも、多少は意識してくれると思う。人間だもん」


茜は『へぇ~』っと感心して紅茶をゴクゴクと飲んだ。
目の前のさとみに女の凄さを見た気がした。
したたか。


「まぁね、私はさとみがどれだけ雨宮奈桜の事を好きか知ってるから。彼に会う為に芸能界に入ったんだもんね。地元のミス盆踊りから始まって、どれだけのオーディションを受けて来たか。雨宮奈桜に似合う女性になる為にスタイルも磨きをかけて、英会話も勉強して。女子力UPさせて来たもんね」