「答えられる前に、私が遮ったから。聞きたくなかったもん。だって、そうでしょ?答えは分かってるのに。奈桜さんには水無瀬梓がいるし、子供だっているんだよ。120%振られる。そりゃ、振られるしかないんだけど。そうなの。分かって告白したんだから。無理を承知で。何も期待してなかったし、求めてもなかった」


茜は黙って聞いている。
自分の役目は、さとみの今の気持ちを吐き出させる事だと思っている。


「いいの。奈桜さんと二人っきりで会えたんだから。あの、奈桜さんと二人っきりだったんだよ?超人気アイドルの。夢みたい。仕事で会ってても周りには絶対に誰かいるでしょ?奈桜さんの事務所ってガード固いから。いつか二人だけで会えたらって。必死で願ってた。そしたらね、会えたんだよ。しかもバレンタインに。神様からのプレゼントだよね?」


落ち込んでいた表情はいつの間にかキラキラと輝いている。