「私……、奈桜さんの事が……」


音のない夜の運動場。
舞い落ちる雪が、見えている世界を白く染めて行く。
さとみの鼓動が聞こえて来るような気がした。


「あの、あのさ、」


どうすればいい?
逃げられない奈桜はパニックになる。
何か言葉を繋げたいが、頭が真っ白で何を言えばいいのか分からない。
第一、真剣な人を相手に、何をはぐらかせるだろう。


「私……、奈桜さんが好きです」


奈桜の胸がギュッとなった。
なんだろう。この感覚。
このシチュエーションに飲まれてるのか。
どう答えたらいい?