「助かりますぅ。2本も飲めないし。ありがとうございます!」


奈桜が缶を受け取った瞬間、両腕にずっしりと重みが加わった。


「さとみちゃん!ちょっと!大丈夫!?」


崩れ落ちそうになっているさとみの体を奈桜は必死で支えた。
甘い香りが鼻をくすぐる。
思っていたより細い体。
いやいや、何を考えているんだ。
奈桜はすぐに思考を現実に戻す。


「あ……、ごめんなさい。大丈夫です」


右手で少し乱れた前髪を上げ、額を押さえる。
そしてゆっくりと奈桜から体を離して行く。
名残惜しそうに。


「大丈夫?」


腕にはまだ、さとみの重みが残っている。



「はい。ちょっと疲れてるのかな?あ、でももう大丈夫です。奈桜さんがいてくれて良かった」


感謝に満ちた目で奈桜を見つめる。