「うわっ、何それ?オレのより大きいやん。なんで?差、つけたらあかんで」


向こうのテーブルで女優たちと楽しそうに話していた俳優の御条 光(ごじょう ひかる)が、大きな声で喋りながら奈桜の側にやって来た。
男性なのに八重歯がチャームポイント。
伊達メガネの奥の目は二重がくっきりとして、卵型の顔立ちの可愛いイケメン。
大阪出身で、大阪弁を売りにしている。


「奈桜さんは御家族がいるからですよぉ」


奈桜にチョコレートを渡した女性が言う。


「そんなん、オレも家族おるで。大阪帰ったら親父とお袋、兄貴が2人や」


「実家は数に入れるなよ」


奈桜が笑う。


「なんでやねん。オレもたくさん欲しいわ」


こういう事を屈託なく言えるのが彼のいい所。


「おはようございま~す」


一瞬、花びらが舞ったかと誰もが思った。
ピンクの濡れたくちびる。可愛らしい声にこぼれる笑顔。
秋月さとみが入って来た。