「か・み・か・わ・さん」
神川が振り返ると首をかしげて可愛らしく微笑む、さとみがいた。
神川はかなり有名なプロデューサーで、その腕もさることながらビジュアルもなかなかの50代のイケメン。
ここ、フジヤマテレビには秋のSPドラマの打合せに来ていた。
アイドル並に可愛い女子アナたちが廊下をすれ違って行くが、やはり秋月さとみの美しさは別格だった。
「わぁ。さとみちゃん、相変わらずカワイイねぇ。声をかけてくれるなんて光栄だなぁ」
「神川さん、後ろ姿から色気がだだ漏れですよぉ」
神川のすぐ側まで来ると、上目遣いで肩の辺りを人差し指でツンツンとつついた。
「またそんな嬉しいこと言っちゃって。何でも欲しいもの買ってあげるよ」
ゆっくりとさとみの手を掴む。

