「終わった?」

白いフワフワのタオルを奈桜に渡しながら、心が話しかける。


「あぁ、ありがとう。うん。まぁ」


今の少し乱れかけた微妙な気持ちを拭いたいのか奈桜はタオルで顔を覆った。


「気を付けろよ。女難の相が出てる」


奈桜の顔をじっと見つめて真面目に言う。
まるで何か起きるかのように。


「ジョナサンの相?」


首をかしげて悩む奈桜に心は大きくため息をつく。


「もういいよ。女難でもジョナサンでも。どっちも女に代わりはない。……今、奈桜に近付いて来ている女は本気だ。本気で向かって来る。命懸けで奪いに来る。好きという気持ちが大き過ぎる。本当に気を付けろ」


キョトンとした顔で聞いていた奈桜はフフッと笑った。


「何か見えるのか?ジョナサンはどこの国の美人だ?」


ひと呼吸置いて、にっこり微笑みながら心を見る。


「ありがとう。気を付けるよ。……ジョナサンに」