「奈桜……、私、やっぱり……」


梓の目がうるんで迷っている。
奈桜はいつものように優しく笑う。


「行くんだ。大丈夫だから」


奈桜は梓の肩を抱いてそっと自分の肩に引き寄せる。
梓の体が小さく震えている。


やっぱりこの手に包まれていたい。
梓の涙が止まらない。


「大丈夫だって。梓が会いたいって思ったら、オレ、いつでも自家用ジェットで会いに行くから」


「えっ?奈桜、自家用ジェットなんて持ってたの?」


かなり驚いて梓の目が丸くなった。
さすが、国民的アイドルZの雨宮奈桜。
ハリウッドスターみたい。
甘く見すぎていた。
ケタが違う。


『違うよ』と奈桜が笑う。


「夢の翼を広げて、いつでも梓の夢の中に会いに行く」


そして優しく両手で梓を抱きしめた。




          ~完~



           2014年7月7日  
     彦星と織姫が1年に1度 逢える夜に


最後まで読んで下さりありがとうございました


        野風 美桜