「ありがとう。でも、大丈夫。調子悪いだけだから。奈桜が心配するからもう寝る。食器、そのまま置いといて。後で片付けるから」


『薬!』と、言った奈桜に『もう飲んだ』と優しく返し、寝室へと行ってしまった。
パンはもう焼け上がっている。
『ふぅ……』と、奈桜はため息をついた。
少しでも冷たくなるとマーガリンの塗りが悪くなる。
それもちょっとガッカリだった。


「休めねぇかな……」


奈桜が休めるはずもなく。
そして、真剣に休みたいとも思っていない。
自分の仕事は絶対に待ってはくれない。
代わりもきかない。
休みたいのはただの願望。


「今日は今日、帰って来れるのか?」


呟きながら、塗りにくいマーガリンをパンに押し付けた。