パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~



~優しい腕の中~



「ただいまぁ。梓、いる?」


仕事を終えて帰って来た奈桜は、明るい声で梓を呼ぶ。
たまたま金曜日だったこともあり、娘の桜は奈桜の実家に預かってもらっていた。


今夜こそ、全ての疑問を解決しよう。
二人で話し合う。
本気でそう思っていた。


「……あず……さ?」


迎えてくれる笑顔がない。
靴があるから、いるはずなのに。


「梓!」


トイレのドアを開けると、ぐったりして壁にもたれて座り込んでいる梓がいた。


「どうしたの!梓!大丈夫?」


抱き起こした梓の顔は血の気がなく、体も以前より細く感じる。
腕に抱いた温もりはいつの間にかフワッと軽くなっている。