「で?何が聞きたいのかな?」
大きな窓から外を眺めて神川が低い声でさとみに聞く。
「この秋のドラマです。主役は奈桜さんですよね?」
神川の背中を突くように見つめる。
「ほぅ。さすが早耳だね。そうですよ。雨宮奈桜が主役。それで?」
まださとみの方を向かない。
目は広がる街を見ている。
「相手役は決まってないですよね?私に
やらせて下さい。私なら視聴率も取れます」
「なるほど。直談判か。積極的だねぇ。相変わらず。でもね、キミが出なくても奈桜なら視聴率は取れる。キミの力は必要ないよ。さとみちゃん」
ようやくさとみの方を向いて微笑む。
それがさとみにはバカにされているように感じられた。
「私は……奈桜さんの相手役にふさわしいと思います。神川さんもきっと満足してくれると思います!」
いつの間にか必死の形相になって神川に訴えかける。

