パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~



~孤立~



「神川さん!」


後ろから呼ばれた神川の口元がクッと上がった。
軽くため息が漏れる。


「その可愛らしい声は……さとみちゃん?」


表情をクルッと変えて笑顔で振り向く。


「神川さんって、意地悪ですね」


少しすねた目で、さとみが神川を見上げる。
さとみが可愛いという事に間違いはない。
周りの状況を全て取っ払ってしまえば、今すぐ抱きしめたくなるくらい可愛いコだ。


「どうしてそんな事言うの?オレ、なんかしたかな?」


「何もしてないから怒ってるんです。どうして電話に出てくれないんですか?ずっとかけてるのに」


「あ………あっ、お疲れ。昨日のドラマ観たよ。いやぁ、良かった。あの二番手のコ、いいねぇ。ちょっと興味あるなぁ。うん。じゃ。………えーと、ごめん。何の話だっけ?」


テレビ局の廊下では、まともに話は出来ない。