パパはアイドル♪vol.3～奈桜ｸﾝの呟き～

「違うの。そうじゃなくて。話があるんだけど。……ここだとちょっと。出ましょう」


何かを覚悟したようなキリッとした表情で梓が席を立つ。
青木は慌てて残っていたカフェオレを一気に喉に流し込む。


「言い出したら早いんだから」


急いで梓の後を追いかけた。



『もう逃げられない』
奈桜にはもうしばらく隠し通せるかもしれない。
でも、仕事は無理だ。
限度がある。そうそう隠せる事ではない。
特に大きな仕事が動こうとしている。
とにかくマネージャーの青木には打ち明けて相談しないと。
一番理解してくれるのもきっと彼女だろう。


ただ。
口にすれば二度となかった事には出来ない。
今なら。
自分の一存でどちらの道も選べる。
自分の置かれている場所、立場、やらなければならない仕事、責任。
自分の住んでいる場所、家族、幸せ、夢。


全てに頑張っちゃダメですか？
認めてはもらえないですか？