「えっ?あ、そうなの?あぁ……そう。あの……。ねぇ、その事なんだけど」


「あっ、今度は私がついて行っていいですよね?私、梓さんがあの時アメリカに行ってから、すっごく勉強したんですよぉ。英会話!絶対に次は一緒に行くって。やっぱり梓さんのサポートは私じゃないと。ん?何か言いました?」


青木はようやく口元の生クリームをピンク色の舌で拭った。


「えぇ。あのね、その仕事なんだけど……」


言いにくそうに口ごもる。


「梓さん、食べないんですかぁ?」


微妙に崩れた生クリームを残念そうに青木は眺める。


「あぁ、良かったらどうぞ」


少し話が逸れた事に梓は内心ホッとする。
言いにくい事は無意識に時間稼ぎしたくなる。


「それで、何ですか?」


大きめに切られたパンケーキが豪快に青木の口へ放り込まれて行く。