「で?奈桜と寝たら勝ちなの?」


心は刺すようにさとみを見る。
さとみの瞳が一瞬、揺れた。


「心さん、意外とはっきり言うんですね。……フフフ。それもひとつの勝ちかもしれない。そこから始まる事もあるだろうし」


「何も始まらないよ。そこからは。よく言うだろ?男は愛情が無くてもデキるんだよ。その時の欲望が勝てばデキるんだ。でも、欲望だけで持った関係はそれだけ。次もなければ未来なんて全くない。それでもそこを目指すんだ?」


「別にそこを目指してません。私は奈桜さんに気持ちを伝えて……。伝えて、気持ちが繋がればって」


『ううん。別にほんとはそれでもいい』
そうも思っている。
一度だけでも奈桜の腕の中で眠りにつけたら。
もうそれでいいかもしれない。
それほど奈桜が好き。