夏休みも残すところ、あと10日という頃だった。


事務所に、守屋さんから連絡が入った。


「お疲れ、守屋。
蒼甫はどう?
撮影は順調?」


今日守屋さんは、蒼甫君のいる撮影現場に朝から向かっていた。


蒼甫君、頑張ってるかな?


「えぇっ?そうなの?」


驚いた表情をするイチャさん。


どうしたんだろう?


何かあったのかな?


「えぇ。えぇ。

わかったわ。

今日は無理だから、明日朝一にあたしが現場に向かうわ。

守屋は今日中に帰ってもいいわよ」


そう言うと、イチャさんは電話を切った。


深刻そうな顔のイチャさん。


どうしたんだろう?


蒼甫君に何かあったのかな…?


「困ったわ…」


「え…?」


「蒼甫が、撮影に集中出来なくなってるって」


「えぇっ?」


「あんまりNG出さないし、いつも元気に現場を盛り上げる子だったのに。

ここ最近NGは多いわ、現場でも暗いんですって」


暗い?


蒼甫君が?


「体調が悪いのかしら…。心配だわ。

あたし、明日朝一番のフェリーで現場に行くわ。

優月ちゃんは事務所で待機しててね」


「…はい。わかりました」


蒼甫君…。


どうしちゃったんだろう?