ふたりのガーディアン

私達は駅までの道を歩き始めた。


「なんだよ、ドラマって」


「お前は知らないだろうが、俺とお前にドラマのオーディションの話が来てんだよ」


「はぁ?聞いてねぇぞ。優月、知ってた?」


蒼甫君に聞かれて、ドキッと心臓が跳ねてしまう。


「知ってたけど…。蒼甫君はやらないと思ったから、あえて言わなかったの」


「それは正しい選択だ。えらいぞ、優月」


ほ、褒めてもらっちゃった。


喜べはしないけど…。


「なあ。出ろよ」


「はー?やだよ」


「俺はお前と戦って勝ち取りたいんだよ。お前がオーディション来ないなんて、不戦勝みたいで気分が悪い」


「知るかよー。
俺、モデルでも俳優でもないタダのド素人なんだぞ?
演技なんて出来るわけねーじゃん」


「いやいや。
たとえ演技が出来なくても、それをカバーするだけの美貌とスタイルがお前にはある」


「それ、褒めてんの?」


「褒めてんだよ。最上級の褒め言葉じゃねーか」


あぁ…。


タダでさえ目立つのに、騒がしいよ、この二人…。