今週は色んなことが重なってしまったけれど、今日は土曜日だし、とりあえず学校の事は考えないことにした。


すごく良い天気で遊びに行きたい気分だったけど、私は朝からバイトに来ていた。


「優月ちゃん、そこ終わったらカウンター来て」


「はーい」


店内から店長の声がする。


朝イチのシフトは、開店準備がちょっぴり忙しい。


「これでよし、と」


最後の一枚の窓を拭き終えた時、遠くからバイクの音が聞こえ始めた。


その音はどんどん大きくなり、カフェの駐車場でピタリと止まった。


「優月」


名前を呼ばれてびっくりして振り返る。


誰だろうときょとんとしていたら、


その人がヘルメットを脱いだ。


「瀬名君っ」


「おはよ 」


「どうしたの?」


瀬名君は休日バイクに乗るって聞いた事があったけど、乗っている姿を見るのは初めてだ。


「天気がいいし、ちょっと遠出しようかと思って。

でもその前に優月のバイト先でコーヒーでも飲もうかと」


「場所よくわかったね」


「蒼甫に聞いたから」


「そうなんだ。もうすぐ開店なの。中に入って待ってて」


そう言って私は、瀬名君を店内へと案内した。