翌朝、私はいつもの教室とは違う教室にいた。


今日は、選択授業のある日。


文系の私は、理系のさっちゃん、蒼甫君、瀬名君とは受ける授業内容が少し違っている。


色んなクラスの生徒が混ざるこの選択授業では、私は人見知りを発揮してしまい、女の子達の輪に入れずにいた。


でも、そんな私に唯一話しかけてくれる人がいる。


「竹内、おはよっ」


「おはよう、渋谷君」


渋谷君は1組の男の子。


スラッとした体型で顔が小さくて、短い髪がとてもよく似合っている。


スマートでコンパクト。


そんなイメージの人だ。


「竹内、昨日バイトだったんだよね?疲れてない?」


「うん、疲れてないよ」


「週3とか4でバイトしてるんでしょ?細いのに意外とタフだよね」


「それだけがとりえだから」


私が笑うと渋谷君も笑った。


「今日も昼一緒に食べるよね?」


シャーペンを器用にくるくる回しながら尋ねる渋谷君は、なんだか女の子みたいに可愛い。


「うん、もちろん」


渋谷君の存在は私にとってすごくありがたい。


このクラスのメンバーに馴染めない私に、気さくに声をかけてくれるから。


別に一人でいても平気だけど、やっぱりちょっぴり寂しいし。