「甲斐の事はどうする?」


瀬名君の問いに、蒼甫君が口を尖らせて考え込んでいる。


「うーん。静華をヘタに刺激するのは、あんまり気がすすまないよな」


「アイツ、目的の為には手段を選ばないところがあるんだ。周りの気持ちなんて、一切考えてない」


渋谷君がぐっと拳を握り締める。


「何かあったみたいだな。中学の頃」


瀬名君が目を細めて、じっと渋谷君を見つめている。


「あぁ…。あった」


渋谷君は視線を下に向けて、ふぅとため息をついた。


「これ以上、竹内に何かされても困るし、甲斐のことを刺激するのは俺も反対だ。
結局のところ、アイツの目的はただひとつなんだ」


「瀬名か…」


静華ちゃんは瀬名君が好きだから、ここまでしているんだよね。


その情熱はすごいと思うけど…。


「瀬名、静華と一度デートしてやれば?」


「あーっ?お前、アホか」


「アイツ、余計に付け上がるんじゃないかな?」


渋谷君が苦笑いする。


「うーん…。まぁーとりあえず教室出ねぇ?もう生徒は誰もいねーよ」


蒼甫君の言う通りで、気がつけばもう18時をとうに過ぎていて。


私達は教室を後にし、校門を出て、駅の方へと向かって歩いた。


こうして三人の後ろを歩いていると、なんだか不思議な気分だ…。


すれ違う女の子達が、あの人達カッコイイーと騒いでいる。


うーん、確かに。


この三人が一緒だと、かなり目立つかもしれない。