赤い流れ星

「シュウ…ごめんね…」

私は思わず、シュウの背中にしがみついてそう声をかけた。
シュウは、それに対して私をふりはらうように身体を動かした。



「……責任なんて感じることない。
ひかりのせいじゃないから…そんなことで俺の面倒みようなんて考えるな。」



(シュウ……)



「ち…違う!
責任感なんかじゃない…」

それは、私がしゃべっていてもどこか別の人が喋っているかのような感じがして……
ほとんど無意識に発した言葉だった。



「わ…私はシュウが好きだから……
だから……!」

言った後で、自分でも驚いた。



「え…?」

驚いたのは、私だけじゃなくシュウもだったみたいで、シュウの背中がびくんと動いた。




「……そう…私…シュウのことが好きだから…
元々、オリキャラのシュウは私の理想だったけど…でも、シュウと暮らしてるうちにどんどん好きになっていった…だから……」

告白してしまった自分に、自分自身が驚いているその時、シュウが急に振り返り、私のことを潤んだ瞳でじっとみつめた。



「……本当か?
本当に俺のことが好きなのか?」

シュウの目が怖い……
でも、私は小さく頷いた。



「ひかり……」

いきなりシュウに押し倒された。
これから、シュウが何をしようとしているか…そんなこと、私にだってわかる。
私の腕を押さえ付けるようにして上から見降ろすシュウの顔が怖い…でも、私はシュウのことが好きだから……
きっといずれはこうなるんだから……
これでも、遅い方なんだから……

そう思い、私はぎゅっと目を閉じて、何も考えないようにした。
全部、シュウに任せれば良い……
そう思うのに、やっぱりとても怖しくて、私はどうしても涙を止められなかった。
声をあげそうになるのを必死で堪え、唇をきつく噛み締める。



その時、不意に私の腕から押さえこむ力が消えた。



「馬鹿……何もしないよ。」

「シュ…シュウ……」

「ひかり…今夜は一人にしてくれ。
一人でゆっくり考えたい……」

「……うん。」



ほっとしたような、でもどこか残念なような……
とても複雑な気持ちで、私はシュウの部屋を出た。
まだ、足ががくがくしてる……
唇も震えてる……

バイトの面接の時どころの震えじゃない。

大きな不安が私をすっぽりと飲みこんで、その晩、私は少しも眠れなかった。