赤い流れ星

「は、はい。」

断るわけにはいかない。
そのせいで、私は抜け出すタイミングを逃し、そのままついつい作業を続けてしまった……
ちょろちょろと壁の時計を見上げる度に気持ちが焦る。
まだ全然片付いた感じはないけど、いくらなんでも今夜は徹夜なんてことないよね!?
不安な気持ちを抱えていると、もうじき7時という頃になって、店長らしき人がハンバーガーの差し入れを持って来てくれた。
私は焦ってそれを口に運び、誰よりも早くそれを食べきると、ロッカールームに走った。



「あ……」

携帯にはシュウからのメールと着信が何度も入っていた。
とにかく早く連絡をしなければと、私はシュウに電話をかけた。



「シュウ…」

「ひかり!今、どこにいるんだ!
電話にも出ないってどういうことなんだ!?」

シュウの声は明らかに怒ってた。



「ご…ごめんね。
思ったよりも遅くなっちゃって……
でも、もうじき帰れると思うから待ってて。」

「待っててじゃないだろ。
今、どこなんだ!」

「あの…実は町にいるんだ。
とにかく、もうすぐ帰るから…本当にごめんね!」

ロッカールームに人の気配を感じて、私はそう言うと慌てて電話を切った。



店に戻って、思いきって店長らしき人にあとどのくらいか聞いてみたら、今日はもう掃除とちょっとした片付けを済ませたらおしまいだということで私はほっと胸を撫で下ろした。
その言葉通り、その後の雑用はすぐに終わったけど、その後、バイトの人達が集められ、明日からのスケジュールや細々した事の打ち合わせがあった。
何時間働けるか等も聞かれ、私は出来るだけお金を稼ぎたい気持ちは山々だったけど、一応、6時まで働かせてもらうことにした。
そのくらいなら多分頑張れると思ったから。
そんな話をしているうちにも時間は過ぎ、時計の針はすでに8時を指していた。

店の外に出ると、あたりの店は次々とシャッターを閉じ始めていた。
いつもこんな時間までここにいることはないけど、そういえば、地下の飲食店街以外は確か8時閉店だったということを思い出した。

建物の外はもう真っ暗。
私は、自転車に飛び乗り、勢い良くペダルを漕ぎ出した。