「やっぱりケンイチ君も気になってた?」
レイジは神妙な表情で言う。
二人は顔を見合わせた。
もしかしたら…サユはずっと父親から虐待を受けていたのかもしれない。
無言で意気投合した二人は、オーナーのもとへすぐに駆けつけた。
オーナーなら…
何か知っているかもしれない。
「二人も揃って…
まぁ、座れよ。」
二人がオーナーの部屋に来ると、オーナーは何かをさとったかのように椅子を用意した。
「父さん………
失踪したサユちゃんの父親って
まだ…行方不明だけど………
見つかりそう?」
レイジが問う。
「直に…な。」
オーナーはすでに居場所が分かっているかのように小さくうなずき、暗い表情をしている。
オーナーからしてみたら、実の弟だ。
気が気で無いだろう。
しかし…心配しているというよりは深くため息をつき、呆れた様子で語った。
「あいつは………俺の弟ながら
どうしようもない男だったよ。
本当はもっと………
早めに手助けでも出来ていたら
少しはマシだったのかもな。」

