異常な僕等はイタッテ正常


しかし…ケンイチの中でまだ何か引っ掛かっている。

本当にそれだけだったのだろうか?
…と。

もしかしたらまだ他にも深い理由があったのではないか?

レイジに問うが、他には何もサユが自殺する動機など思い浮かばないと言う。



ちなみにサユがこの世を去った今も、まだ失踪した父親は見つかっていないらしい。



(あの日に戻れたら…
サユを助けられたのかな?)



「………ただ…」



しばらく続いた沈黙の中、悩んでいるケンイチをよそにレイジが思い出したように口を開いた。



「サユちゃん…昔から
体にアザがよく出来ててさ、
日曜日…僕も数年ぶりにあの子に
会ったんだけど、
サユちゃんが
髪の毛を結んでいるところを
偶然見かけた時
首のあたりに同じようなアザが
あったんだよね。」



と、不思議そうに話した。



「あの…それってもしかして…」



ケンイチも別の箇所だったがサユの体にあるアザを目撃している。



それとこれとどんな関係があるかは分からないが、レイジがつけたわけではないと知り、ケンイチも不思議に思った。

サユが単にドジだっただけかもしれないが、仕事をしていた時にはむしろ優秀な雰囲気だったため、自分でアザをつけたとは考えにくい。



自分でつけたわけではなく、誰かに暴力を受けていたのではないか?

誰に?

アザの理由を考えた時…
嫌な予感がして切なさと恐怖を感じた。



失踪したサユの父親は…



一体どこにいるのだろう?