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大して乗り気じゃなかったけど、知恵達に誘われるがままに夜の街へ向かった。

まぁ半分はやけになって。佐倉さんと会う予定だったのに、奥さんが夜ご飯を既に作っているからと断られたのだ。

こんなこと、日常茶飯事だけど。

「亜弥ー!おっそぉ~いよっ」

知恵がいつもの店の奥でビールジョッキを持ち上げる。周りにいる人達を見ても、みんなが出来上がってることは一目瞭然だ。

あたしは軽く溜め息をつき座敷に上がる。

「すみませーん!生中ひとつ!」
「ちょっと、あたし生飲むなんて言ってない…」
「ぶぁ~か!生飲まなくて何始めるつもりぃ!?」

ほら、飲め!と、自分の飲みかけのビールをあたしに無理矢理渡す。渋々あたしは受け取った。

ビールを見つめながら思う。もしかしたらあたし、今めちゃくちゃ酔いたい気分なのかもしれない。

そう思うと止まらなくて、知恵の残りのビールを一気に飲んだ。
丁度運ばれてきたあたしの生中も、受け取ってすぐに一気のみする。冷えていて美味しい。

「おっ、いくねぇ~!どんどんいこぉ!」

知恵が盛り上げ、皆もわぁっと騒いだ。あたしも合わせて騒ぐ。

早いとこ酔ってしまおう。酔って、そして、全部忘れちゃおう。

忘れちゃいたい。