テレビでしか聞いたことがないような見事な騒音がアッチの世界に旅立っていた俺の意識を無理矢理引き戻したのだ。

「な、なにごとだ!?」

 そう、俺はすっかり忘れていたのである。

 彼女がバイト先で接客と皿洗いしかさせてもらっていないということを……。

 つまり。

 料理が、白熊が真夏のトライアスロンに挑戦するのと同じくらい、駄目ってことに、ね。