これほどまでに一人の女性を愛おしいと思うことは今までになかった。

 欠点は誰にでもある。

 珈琲を琥珀の宝石と例えるやつもいれば、ただの苦い水というやつもいる。

 苦手なやつからいわせれば珈琲なんて香りからして受け付けるもんじゃないだろう。

 だが俺はこの珈琲ってやつに一生をかけてもいいくらいに惚れ込んでる。

 そして彼女へもどうしようもないくらいに惚れ込んでる。

 渋味がなんだ。

 天然がなんだ。

 苦みがなんだ。

 わがままがなんだ。

 酸味がなんだ。

 気まぐれがなんだ。

 めんどうだろうが気難しかろうが違いがわかりにくかろうが強固に頑固だろうがなんだろうが。



 惚れたもんはどうしようもないってんだ。



 他人にゃ理解できないようなこだわりかもしれないが、その魅力に引き込まれた以上は自分にとっての最高を手に入れるためにできうる全てのことがしたいと思うのは当然のことだろう?