たくさんの人々。舞い散る桃色の花弁。甘い、甘い香り。

 隣を歩く悠夜はよく着ているガッコーの制服と違い、黒と紫のシマシマのVネックにジーンズを身にまとっている。

 健吾も制服ではなく、胸元に意味のわからない英語がプリントされている薄い白のTシャツに、黒っぽいゆるゆるとしたズボンを身にまとっている。

 僕は悠夜に誘われたのでこうしてついて来たけど、一体これはなんなのだろう?

 小さい子から大人までの大人数が、桜並木の下でご飯を食べてワイワイと騒いでいるんだ。

 血の繋がりもない赤の他人同士でお酒を飲み比べたり、時折桜を見上げては「綺麗だなぁ」なんて呟いている人もいるし。

 僕にはこれがなんなのか……全く理解できない。