『ちょっと、樹!こんな時間にどこに行くのよ!?』 「───有紗っ!」 コートを手にとって、俺は部屋を飛び出した。 そんな俺に驚いて、母さんが声をかけてきたけど呑気に返事をしてる場合じゃない。 ダメなんだ、冬は。 ダメなんだよ、この季節は。 冬になると彼女は 消えようとする。 雪のように消えてしまおうとする。