「え?何て言ったか全然聞き取れなかった。ねぇ、もう一回、今度は日本語で言ってよ」
「もう、言わない。じゃ、そういう事だから。バーーーイ」
「えー!?ちょっと、電話切る気?せっかく____」
花がキャンキャン喚いている声を聞きながら、会話終了のボタンを押す。携帯をポケットに戻すと、ベランダから白鷹が顔を出した。
「虎くん、赤ワイン、まだぁ?」
「へいへい」と頷き、テーブルに置かれた赤ワインのボトルを握る。栓を抜くと、ポンッとコルクが軽い音を立てた。ボトルを白鷹に渡しながらニヤリと笑った。
「兄貴、俺、日本に帰るよ。空いてるチケットあったら、なる早で」
「えっ!?」突然の帰国宣言に、白鷹は目を丸くして声を上げた。予定では、帰国は5日後のはずだったのだ。
「でも、また戻って来る。その時は、俺もカノジョと呼べる子も連れてくるから、たぶん」
「あ、うん」驚いたままの白鷹は、ワケも解らず頷いた。
ドーーーン!
真っ暗な空に、真っ赤などでかい花が咲いた。パラパラと光は儚く散っていく。
「Wish me luck.」
その火花を流れ星に例えて、白鷹が注いでくれた赤ワインの入ったグラスを空に掲げ、そう呟いた。
red heart *FIN

