人ゴミの間をすり抜けながら、奥へと進む。
店内のライトは燃えるような赤に変わり、頭が割れそうな位のダンスミュージックな鳴り響いている。
店内奥のスペース、くるくる回るミラーボールの下で、ダンスバトルが行われていた。
身長差が倍位ある2人の男。
Pharrell Williams の「HAPPY」に合わせて、ダンサーがアクロバティックな動きをする。
頭を軸にしてぐるぐると回ったり、片手だけで重心を取って逆立ちをしてポーズを決めたり、大技が決まる毎に観衆が湧く。
小柄な方の男はアジア人に見えた。「なかなかやるもんだ」と彼のダンスに見入ってしまった。
「Hana!」
そう誰かが呼ぶ声がして、思わず振り返った。
振り返った所で、がっかりと肩を落とす。名前を呼ばれ、こちらに手を振る女は俺の知るHanaとは別人のドレッドのキョカンだった。
思わず舌打ちが出る。考えてみりゃ、いるはずなんてない。あいつは日本だ。ポケットの中の携帯を覗き込んだ。
葵からの着信があった。
「虎!」
葵に電話しようとしたところで、後ろから声を掛けられた。
「わりぃ、ダンス見てた。着信、今気付いた」

