Murder a sponsor.

 国語準備室で膝を抱いて座っていると、2人が戻ってきた。――いつもと変わらない態度で。

 熊沢さんに好きだと言われて、真人くんはなんて返事したのかな。

 告白を受け入れたとしても、断ったにしても、あまりにもいつもと変わらない態度のせいで、私には分からない。検討もつかないよ。

 でも、熊沢さんの告白を断る理由が見付からないし……やっぱり、真人くんは受け入れたのかな……?

 だったら、私も真人くんを想うこの気持ちを、早く封じ込めてしまわないと。いつまでも想い続けていたって、仕方のないことだから。


「さっきはごめんなさい。急に飛び出したりして」


 しゅんと肩を落として謝る熊沢さんが、さりげなく真人くんの腕に自らの腕を絡めるのを、私は見逃さなかった。

 真人くんは嫌そうな表情を浮かべて、すぐに熊沢さんを引きはがしたけれど……熊沢さんの行動と真人くんの行動が一致しないのは、どうして?

 告白を受け入れたのなら、真人くんが嫌そうな表情を浮かべて熊沢さんを引きはがす理由が分からない。

 告白を断ったのなら、熊沢さんが真人くんの腕に自らの腕を絡めたのは……私に見せつけるため、とか?

 どちらにせよ、私に勝ち目などないのだから、私はただ黙っていればいい。


 ――“あの時”と、同じように。