Murder a sponsor.

 自分のしでかした過ちに気が付いた俺は、罪悪感を覚えた。

 琴音のことでいっぱいいっぱいで、熊沢の考えていること……分かろうともせずにいた。最悪なのは、自分自身だ。


「熊沢……!」


 俺はすぐに教室を飛び出し、すでに姿が見えなくなっている熊沢を追い掛けた。


「待って、私も……!」


 背後で琴音がそう言ったのだが、熊沢を連れ戻すという考えでいっぱいの俺は、聴こえていなかった。ましてや、俺のあとを追い掛けて来ているだなんて、知る由もない……。


「はぁ……はぁ……くそっ、どこに行きやがったんだ、熊沢のやつ……」

「っ!」

「熊沢?!待てよ!」


 廊下を走り続けていると、熊沢が俺に背を向けて走っているのが見えた。

 俺はすぐさま全速力で追い掛ける。男女の差なのか、距離はどんどんと縮まっていって……俺はギュッと熊沢の腕を掴んだ。


「待てって!」

「イヤッ!離しなさいよ!」

「離さねぇ!危険だし、教室に戻るぞ」

「イヤだってば!」

「熊沢!」


 俺の顔を見上げる熊沢は、やっぱり両目に涙をためていた。しかし、俺の顔を見た瞬間、その涙は溢れ出て、頬を濡らす。