Murder a sponsor.

 俺の琴音に対する想いは、誰にも知られていないと思っていた。まさか、熊沢に知られていたなんて……。

 いや、この際、俺の想いが誰かにバレていたとかバレていないとか、どうでもいい。

 ただ、胸の内に秘めていた想いが、こんな状況で……しかも、琴音本人がいるみんなの前で、熊沢を通して明かされてしまったことに、心臓がドクンッと揺れる。

 最悪だ。どうせいつの日か琴音に気付かれるなら、男らしく、自ら告白をしたかった。誰かの口によって気付かされるのではなく、ちゃんと、自分の口で伝えたかったのに……。最悪だ……。

 ……隣にいる琴音の顔が、見れない。

 琴音がどんな顔をしているのか、どんな気持ちでいるのかを考えたら……怖くて、そっちを向けない。

 そうだ。みんなは精神的に追い詰められているから、こんな熊沢の言葉、全部聴こえているわけがない。

 俺も、今日は色々とあって疲れているから、変に動揺してしまうんだ。そうだ。きっと。そうに違いない。

 だから、冷静を装っていたら、こんなのはどうってことない……。


「はぁ~。白鳥さんみたいな女の、どこかいいんだか」


 どうってこと……。


「赤羽先輩じゃなくて、白鳥さんが死ねばよかったのに」

「……しろよ」

「は?」

「いい加減にしろよ」


 熊沢に対して怒りが沸き上がっているはずなのに、不思議と冷静でいられた。