Murder a sponsor.

「真人くんの言いたいこと、分かるよ。だから、ちゃんとした手当ては出来ないんですけど……」


 琴音はポケットから花柄の可愛らしいハンカチを取り出すと、怪我をしている赤羽さんの足の部分を縛った。


「すみません……これで我慢してくださいませんか……?」

「あっ、うん……!じゅうぶんだよっ?ありがとうっ!」


 にこっと笑う赤羽さんを見た琴音は、安心したのか、わずかながらも微笑みを浮かべた。

 保健室が安心であるかどうかを確認しに行くのも危険が伴うだろうし、今はこれで凌ぐしかない、よな……。赤羽さんには申し訳ないが。


「よし、ひとまず国語準備室の方へ戻ろうか。浦松先生も一緒に」

「あっ、はい……!」

「――あの、すみません。1つ、聞いてもいいですか?」


 赤羽さんと浦松先生が加わり、国語準備室へ戻ろうとした瞬間――新名が妙な面持ちで口を開いた。


「あなた、主催者じゃないんですか?」


 新名からの質問が問い掛けられたのは……赤羽さんだった。

 その場にいる全員が足をとめ、いっせいに赤羽さんの方を向く。


「え……?」


 赤羽さんは何を言われたのかが分からなかったのか、唖然としている。


「なんていうか……放送の声と似ているんですよね。口調というか、雰囲気というか」

「おい、新名っ!いきなり何を……」

「そう言われてみれば、確かに」

「熊沢もかよっ?!」


 おいおい、この2人はいきなり何を言い出すんだ……?!