Murder a sponsor.

 足を噛まれていた赤羽さんの足首は真っ赤に腫れ上がっていて、血も滲み出ている。見ていてとても痛そうだ。ちゃんと歩けるかさえ疑問で、これは……手当てした方がいいかもしれない。


「赤羽さん、大丈夫?歩ける?」

「うーん、ちょっと無理そう、かも……。あはは」


 舞さんが尋ねると、赤羽さんは笑った。

 痛みを誤魔化すための笑いだろうか。そう考えると、なんとしても早く手当てをしてやりたいところだが……。


「浦松先生、他のみんなはどうなりました?」

「えっ……と、それが……その、みんな、死ん……じゃって……」


 俺の質問に、浦松先生の声はどんどん小さく、か細いものへと変わっていく。もしかしたら、思い出したくないことまで思い出させてしまったのかもしれない。


「あー、言いたくないなら、言わないで結構ですんで。あの、嫌なことを聞いてしまったら、すみません」

「いや……その、………………ごめん」


 いつも笑顔を浮かべている浦松先生が、こんな切羽詰まったような表情を浮かべているのを見ると、この状況は本当に嘘じゃないんだな……と嫌でも実感させられる。


「じゃあ、まずは赤羽さんを保健室に……って、言いたいところだが……」


 舞さんや俺達を襲った男子生徒が、まだいるかもしれない。

 そう考えると、簡単に保健室に行こうとは口に出来ない。