Murder a sponsor.

 えーっと、確か声はこっちの方から……。

 ……ん?

 ふと、見下ろすと、廊下のまがり角の床から血が広がっていくのが見えた。ちょうど血を流した人物が見えなくなっているけど、これってまさか……もう……。

 いや、諦めたくない。諦めたく、ない……。心のどこかでまだ生きていると思い込みながら、俺はそっと、廊下をまがった。


「……!」


 そこには、血塗れで横たわる2人の男子生徒と、床に座り込んでガタガタと震える女子生徒がいた。その女子生徒の足にはいわゆるトラバサミが食い付いていて、見ていてとても痛々しい。


「おい!大丈夫か?!」


 俺はすぐに座り込んでいる女子生徒に近付き、トラバサミを引き剥がそうと力をいれて試みるが、びくとも動いてくれない。

 女子生徒は放心状態なのか、どこか宙を見つめながら歯をガチガチと鳴らすだけで、返事はない。

 すると、背後からぱたぱたと足音が聴こえたかと思えば、国語準備室にいるはずのみんながここに来ていた。


「どうしてお前らがここへ……?!」


 俺が1人で行くと言った手前、ここへは誰も来ないと思っていたので、みんなが来てくれたことに驚かざる得ない。


「やっぱり、放っておけないですからね」

「勘違いしないでよ?!北條に死なれたら後味が悪いから、仕方なく来てやったのよ」

「私達、心配で……」


 口々にそう言うみんなに、俺は嬉しくなった。