Murder a sponsor.

「真人くん、大丈夫?」


 刃先が掠めた横腹を押さえながら、ボー然としてしまっている俺に、舞さんは心配の言葉を投げ掛けてくれた。

 俺はすぐに我に返り、「ああ……」と言葉を返す。

 すると、舞さんは、頭を押さえてうずくまっている2人の男女に近付き、30㎝の定規の先を向けた。


「まだ、やるのかしら?」


 舞さんの凛とした、声。

 それを聴いた女子生徒はうずくまりながら泣き出し、男子生徒は悔しそうに足で地面を踏んだ。


「クソッ……やるなら、やれよ!」


 これ以上、自分たちに勝ち目はないと悟ったのか、男子生徒は投げやり気味にそう吐き捨てる。

 やるなら、やれよ……って、それってつまり、殺せっていうことか……?


「バカを言ってんじゃねぇ!!!」


 突然、大きな声を出したせいか、襲い掛かってきた2人はビクリと肩を震わせ、顔を上げて俺の方を見た。


「『やるなら、やれよ』?そんなこと、出来るわけがねぇだろうが!簡単に死ねだの殺せだの言ってんじゃねぇよっ!!!」


 殺人が快感だとか言っている奴らならまだしも、俺や舞さん……琴音たちにそんな趣味はない。

 したくもない殺人を急かされて、簡単に「はい、殺します」って言えるわけも出来るわけもねぇだろうが!